ドイツ留学中の学部4回生、田村くんが前回に続いてドイツでの留学生活を紹介するレポートを送ってくれました。
以下に本文を掲載します。
残すところあと3か月の留学となりました。
もう5月なのに暖かかったり寒かったりとまだまだ夏は遠いなと感じております。
さて、つい先日まで春休み期間でした。この春休みには、様々な場所に行ったのですが、一人の社会学徒として印象に残った都市について3か所ほど書きたいと思います。
1.フランクフルト
まず1つ目はフランクフルトです。
ドイツの金融の中心地ということで高層ビルが立ち並び、日本の都市の様子に近いと思います。ゲーテの出身地ということもあり、広場には大きなゲーテの像があったり、ゲーテの生家があります。
またここには社会研究所(Institut für Sozialforschung)があります。
社会研究所は1923年に創られ、ナチスの影響で1933年に一度閉鎖されていますが、二次大戦後の1951年に再建されます。ここで研究していた人々はフランクフルト学派と言われています。
ホルクハイマー、アドルノ、ベンヤミン、フロムといった名前は、社会学を学んでいる人ならどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
その研究所は今でもフランクフルトにあります。
研究所の事務の方に入れるのか聞いてみましたが、月曜日の午前中なら入れるとのことでした。(自分のドイツ語の聞き取りが間違っていなければですが…)
中に入れなかったのが残念ですが、ここで上記の人々が研究していたのかと思うと感慨深いものがありました。
本の中の出来事でしかなかったものを実際に現地で見られるというのは貴重な経験だと思います。
2.フライブルク
2か所目はフライブルクです。
環境都市として有名で街中を小さな水路が流れていてとてもきれいな街です。
ここにあるフライブルク大学はハイデガーが学長だったことのある大学で、ルーマンが法学を学んでもいたそうです。
やはりハイデガーが学長をしていた影響力は大きいようで、哲学科に行くと「ハイデガーフォーラム」みたいな貼り紙がたくさんありました。
またフッサールがいた大学でもあり、ユダヤ人だった彼がナチスから迫害を受けたことを記す「つまずきの石」が哲学棟の前にあります。
少しでもその土地の歴史や関係する人物を知っていると非常に興味深い旅ができることを実感できました。
逆にただ景色を見るだけとなると、大体どの街も同じように見えてあまり面白くないのではないかなと思います。
3.ストラスブール
3か所目はストラスブールです。
世界史を学んだ人なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
アルザス・ロレーヌ地方の資源をめぐってドイツとフランスが争ったため何度も国境線が変わっている場所です。
今はフランスなのでフランス語がほとんどですが、ドイツだった名残も所々に見られます。
街の中心の大聖堂の広場には、ドイツ語の広場の名前とフランス語の広場の名前と両方あります。
年配の方と話す機会があったのですが、ドイツ語が通じて驚きました。
さて、どのように社会学とストラスブールが関係しているのかというと、(全く個人的な趣味ですが)ジンメルの墓があるのがストラスブールです。
ネットにあった記事等々を駆使してどうにか墓地は特定しました。
見つかるかなとは思ったのですが、あまりに墓地が広かったのと、ジンメルの墓が古すぎて、草に覆われてしまっていて判別がつきませんでした…。
残念でしたね…。
ただ友人と探し回っている間にある男の人が声を掛けてくれました。
私たちがジンメルの墓を探していると言うと、驚いたことにその人が社会学の先生をしており、ゼミの生徒でジンメルを扱っている人がいるとのことでした。
結局見つからなかったのではありますが、面白い経験をしたなと思います。
ヨーロッパに留学していると、EU圏内は非常に交通のアクセスが良いのでいろいろな場所を訪れることができます。
バスや飛行機、電車と交通手段は様々です。
残り3か月と短い時間ですが、多くのものを見られたらと思います。