『社会学雑誌』11~20号刊


『社会学雑誌』第11号

1994年3月31日発行

 A5判272頁

 頒価1,200円

内容紹介

11号は、1994年3月をもって神戸大学を退官された長谷川善計教授の「退官記念号」です。長谷川先生は神戸大学の第1回卒業生であり、昭和31年に助手として赴任されて以来、38年の長きにわたって、教育、研究、学内行政に常に全力で当たられ、神戸大学社会学研究室に一時代を築かれました。 

 

巻頭では先生ご自身の執筆による「時の流れのなかで」が掲載されています。先生の子供時代、学生時代、教師時代の多くのエピソードを通して、人間関係のさまざまなあり方、人間関係の大切さが印象深く語られています。ここから人間関係を対象とする社会学の実践的側面を読み取ることができます。 

 

続く「座談会 長谷川先生を語る」、「ソシエテ 長谷川先生の思い出」では、多くの方々との対談や文章から、先生の学生や学問、さらに人生に対する強烈な情熱が伝わってきます。 

 

また論文もヴェーバー論をはじめ多数掲載されており、読み応えのある号となっています。

目次

長谷川善計教授退官記念号

ソシエテ

  • 先生から学んだこと(岩谷 親憲) 
  • 贈って下さった言葉(塩尻 道雄) 
  • 神戸の街と長谷川先生(水越 一夫) 
  • 長谷川先生から戴いたもの(大木 誠一・大木 圭子) 
  • 御退官に触れて(伊藤 俊哉) 
  • 「本物」をめぐる時代(左近田 展康) 
  • 長谷川先生の想い出(長山 孝史) 
  • 先生の「書斎」(矢倉 和紀)

社会学研究室の歴史―『五十年史』に向けて―― 

<研究室便り> 

<編集後記>


『社会学雑誌』第12号

1995年3月31日発行 

A5判209頁 

頒価1,200円

内容紹介

阪神大震災の被害によって発行不可能と思われた今号でしたが、当初の予定から大幅に遅れはしたものの、無事発行することができました。震災以降の神戸大学や当研究室のようすについては、北原淳(神戸大学)の「阪神大震災と社会学研究室」のなかで刻銘に記されています。また、石山靖男(神戸新聞社)による「危なかった新聞発行」は、震災によって本社ビルに壊滅的被害を受けながらも、一日も休むことなく被災地に情報を提供し続けた神戸新聞の努力を伝えています。 

 

今号では、「比較社会学への展望」と題してアジア社会に関する論考を特集しました。この冒頭には、当研究室で主催したS.N.アイゼンシュタット教授による講演会「日本社会の発展―比較近代歌論の視点から―」の模様と、同教授の比較文明論の理論的枠組みに関する著作の抄訳を配しました。これと同時に、タイ、韓国、日本、中国、フィリピン各国に関する諸論文を掲載しています。

(S.N.アイゼンシュタット:イスラエルのイェルサレム・ヘブライ大学名誉教授。今号で訳出した著作の原題等は、以下の通り。 

A Sociological Approach to Comparative Civilizations : The Development and Directions of a Research Program, The Hebrew University of Jerusalem, Jerusalem,1986. )

 

また、この『社会学雑誌』創刊に尽力され、94年3月をもって退官された長谷川善計教授の退官記念祝賀会・最終講演の模様が報告されています。

目次

特集:比較社会学への展望

  • アイゼンシュタット教授講演会(油井 清光) 
  • 比較文明論への社会学的アプローチ──比較文明:一つの理論枠組み (S・N・アイゼンシュタット) 
  • 共同体意識と村落開発──タイNGO農村開発理論の批判的検討(北原 淳) 
  • 「書院祭」と地域社会──韓国慶尚北道「尼陽書院祭」の事例を中心に(金 相圭) 
  •  農業水利研究への社会構造論的アプローチ──余田博通「溝掛かり」論の学説史的検討(小林 和美) 
  • 中国の家族規範の特質──家族形成過程を中心に(高谷 尚美) 
  • 「国際労働力移動の人類学」試論──フィリピン・イロコス地方一農村の事例研究(長坂 格) 

 

寄稿論文

  • デュルケーム社会学における分析・説明原理──発生論的方法を中心として(呉 賢淑) 

  

書評論文

  •  新しい普遍史の再構成のために──シュテファン・ブロイアー著『マックス・ヴェーバーの支配の社会学』を読む(池田 太臣) 

  

阪神大震災によせて

  • 阪神大震災と社会学研究室(北原 淳) 
  • 危なかった新聞発行(石山 靖男)

ソシエテ

  • 「旅」──徳山市で考えたこと(岩谷 親憲) 
  • 「今」を読む目(武永 勉) 
  • t君の仕事(横住 岳史) 
  • エイズ一考(西村 由実子)

 

長谷川善計教授退官記念祝賀会・最終講義 

社会学研究室の歴史──『五十年史』に向けて(その二)―― 

卒業論文題目一覧 

<研究室便り>     

<編集後記>


『社会学雑誌』第13号

1996年3月31日発行 

A5判197頁 

頒価1,200円

内容紹介

本号の特集は、「阪神大震災研究」と題して、1995年1月17日の兵庫県南部地震以来、社会学研究室で進めてきた震災調査研究を95年末の時点で総括しています。震災当初の状況については、岩崎信彦(神戸大学)による「阪神大震災による社会解体と再生の苦悩」で詳しく論じられています。また「阪神大震災関係年表」において、震災後9ヶ月間の経緯を追うことができます。 

 

震災直後から行ってきた避難所調査では、神戸市灘区内の避難所約90カ所を訪れ、避難者リーダー・施設責任者・ボランティア代表者などからの聞き取りにより、避難所運営の実態把握に努めました。この避難所調査の成果として3本の論文が掲載されていますが、それらにおいて、多数の被災者を抱え込んだ小・中学校などの<学校>型避難所と、おもに地域の役職者が運営を主導した<地域集会施設>型避難所について、内部の組織化や運営方法の特質が描かれています。また、これらの避難所相互の関係や避難所をとりまく地域との関係についても、人の移動や物資の流れ、既存の地域集団やその役職者が避難所運営にはたした役割などに注目しつつ論じられます。 

 

また、震災復興まちづくりにかかわる継続的な調査報告として4本の論文が収録されています。これらの論文は、灘区のJR六甲道駅周辺の3地区と長田区の鷹取東地区で行われた「まちづくり協議会」の傍聴記録と、全世帯を対象にしたアンケート調査などにもとづきながら、震災後まもなく土地区画整理事業・市街地再開発事業の対象とされた4地区における地域住民の対応や結束の様子が鮮明に描かれています。 

 

また「海外の社会学」欄では、オックスフォード大学の英国デュルケーム研究センター主催の「デュルケーム研究国際会議」(1996年7月)の概要について、大野道邦(神戸大学)がレポートしています。センターへの問い合わせ先は、次の通りです。

 

Dr W.S.F.Pickering

The British Centre for Durkheimian Studies  Institute of Social and Cultural Anthropology:

51,Banbury Road Oxford OX2 6PE

Phone (01865)274671

Fax (01865)274630

目次

特集:阪神大震災研究

  • 阪神大震災による社会解体と再生の苦闘(岩崎 信彦) 
  • 阪神大震災関連年表(三浦 雅彦) 
  • 〈学校〉型避難所における組織形成と運営形態(大槻 文彦) 
  • 〈地域集会施設〉型避難所における組織形成と運営形態(谷口 裕久) 
  • 神戸市灘区における避難所の分布とその運営(小林 和美、池田 太臣、中野 伸一) 
  • 土地区画整理事業と住民の対抗および調整(中野 伸一、大原 径子、三浦 雅彦) 
  • 被災と復興過程にみる地域コミュニティの連続性(首藤 明和) 
  • 区画整理事業「第一号地区」への住民の歩み(徳田 剛) 
  • 市街地再開発事業と復興まちづくりの対抗(池田 太臣、伊藤 亜都子)
  • 海外の社会学 デュルケーム研究国際会議に出席して(大野 道邦)
  • 近代企業の「日本的」経営と近世商人の家業経営(多田 哲久)
  • 留学生の眼 中国残留日本人孤児の悲劇(史 楽平) 

追悼:長谷川先生

  • 長谷川先生を偲ぶ(北原 淳) 
  • 長谷川先生を偲んで(古川 信雄) 
  • 「私は愛妻家なんですよ」(後藤 武) 
  • 思い出すこと(淺桐 啓祐)

ソシエテ

  • 宮島出張とワープロ思考(三宅 征彦) 
  • 神戸へ、そして神戸から(細川 裕子) 
  • 農業と日本人(今井 俊作) 
  • フィクション(鈴木 直行) 
  • 駆け出し記者が感じたこと(片山 幸弘)

社会学研究室の歴史 ―『五十年史』に向けて―(その三)

<研究室便り> 

<編集後記>


『社会学雑誌』第14号

1996年10月1日刊行 

 A5判316頁 

 頒価1,200円

内容紹介

14号は、1995年10月に惜しまれつつ逝去された神戸大学名誉教授・長谷川善計先生の「追悼論文集」です。先生は神戸大学在職中、社会学研究室の発展に尽力され、この『社会学雑誌』も、先生の「社会学と現実社会をつなぐ交流の場をつくりたい」という発案に端を発し、教官、院生、学生、卒業生の協力をもって発刊されることとなりました。 

 

「追悼論文集」は先生の業績にほぼ沿う形で、「社会学理論・学説」「家・家族論」「アジア社会論」「現代社会論」の4つにカテゴライズされ、社会学界、社会学研究室関係の執筆者の協力を得、それぞれ5本前後の論文を収録しています。また神戸大学関連の諸先生方や卒業生の方々からの「長谷川先生の思い出」と題した寄稿が掲載されています。 

 

「社会学理論・学説」では、ドイツ社会学、フランス社会学、アメリカ社会学における理論整理や再解釈、新たな理論提示を、「家・家族論」では、家族研究の動向や、長谷川「家」理論の射程や展開を中心に収録しています。「アジア社会論」では、沖縄、タイ、華僑、長崎県の離島を対象とし、地域性・民族性に富む多様なアジア社会構造についての諸論考を、「現代社会論」では、オウム真理教、クロアチア、混住化、震災といった、日常マスコミで取り上げられる対象を、社会学的に分析した諸論考を収録しています。 

 

なお、第14号は、長谷川先生の一周忌に合わせるため、例年より半年早く出版しています。

目次

追悼号によせて

社会学理論・学説

  • 岐路に立つ文化社会学者(秋元 律郎)     
  • G・ジンメルにおける「一般社会学」と「純粋社会学」(居安 正)     
  • シンボル社会学の可能性(大野 道邦)     
  • パーソンズの科学論(油井 清光)     
  • 「国民的競争国家」と「市民社会」(中村 健吾)     
  • マルセル・モースにおける「全体性」と「力」(林 大造)  

家・家族論

  • 家族研究の新たな方法を求めて(正岡 寛司)     
  • 家・同族研究における長谷川理論の画期性(大島 真理夫)    
  • 女性の働きと家・村・霊(竹内 隆夫)    
  • 日本社会論と家・同族論(藤井 勝)    
  • 屹立する学問精神(野崎 敏郎)    
  • 自然主義文学と「家」(朴 東碩)    
  • 近世社会構造と株仲間(多田 哲久)  

アジア社会論

  • 沖縄村落共同体理論の再検討のために(北原 淳)    
  • 北タイ農民の灌漑組織(高井 康弘)    
  • 阪神大震災と在日中国人コミュニティ(過 放)    
  • フィリピンの地方政治とエリート家族(長坂 格)    
  • 集落祭祀の空間論的理解をめざして(今井 信雄) 

現代社会論

  • オウム真理教における異常、超常、正常(岩崎 信彦)    
  • クロアチアのセルビア人問題の深層(材木 和雄)    
  • 混住化地域における用水管理(小林 和美)    
  • 「震災復興まちづくり」における住民の意思決定過程(伊藤 亜都子)

長谷川先生の思い出

  • 長谷川先生に感謝(鈴木 利章)  
  • 火の玉人生(眞方 忠道)  
  • 追想(堀 喜望)  
  • 長谷川教授の散華を悼むの記(金澤 實)  
  • 長谷川善計さんの憶い出、あれこれ(杉之原 壽一)  
  • 父 長谷川善計との二八年間の軌跡(長谷川 智子)  
  • 長谷川君を偲んで(森脇 和年)  
  • 仰げば尊し(大塚 光明)  
  • 長谷川先生を偲んで “いいものを創るには、辛抱が大切です“(野田 弘三)  
  • 先生は生きる形が詩人であった(藤田 佳代)  
  • 長谷川先生との出会い(野瀬 薫)  
  • 人生の師としての先生(竹内 隆夫)  
  • 声の記憶(佐近田 展康)  
  • 長谷川善計先生の思い出(坂田 有士郎)  
  • 長谷川先生と私(金 相圭)  
  • 「長谷川先生の不思議な安心感」(山岸 秀樹)

故長谷川善計名誉教授略歴 

故長谷川善計名誉教授主要著作

<研究室便り>        

<編集後記>


『社会学雑誌』第15号

1998年3月1日刊行 

 A5判213頁 

 頒価1,200円

内容紹介

15号の特集は「文化と社会」です。近年、社会学において「近代的なるもの」の相対化とその批判が、「文化」を焦点として遂行されつつあります。それは「文化」こそがこの「世紀末」社会の変動と根底的なところで連動する、もっと言うならリードするものでありえることを示唆しています。そこで本特集では、内外の状況も念頭に置きつつ、「文化と社会」についていくつかの視点から考察を試みています。大野道邦(神戸大学)は、文化をシンボルとして捉え、シンボルの三特性に対応する、表現、行為、記号としてのそれぞれの文化の今日的意義及びこれらの相互関係を議論しています。油井清光(神戸大学)は、多文化主義、共同体、国民国家、グローバリゼーション、普遍主義という、文化を語る際の枢要な用語について具体的文脈におきながら理論的吟味を行い、アメリカにおける文化的言説と社会的リアリティの微妙な関係について議論を展開しています。田中紀行(奈良女子大学)は、最近の文化社会学の動向、特にドイツのそれを取り上げ、文化社会学が文化と社会との一般的かつ基本的な関連を解明する試みであると明瞭に主張し、文化要因と社会構造を媒介する 、研究法や概念を提出しています。 

 

また特集以外では、海外の社会学として、シーダ・スコッチプル(ハーバード大学)を筆頭に、我が研究室の若手研究者が精力的にフィールドワークを行った成果がふんだんに盛り込まれています。 

 

最後に伝統のソシエテ欄も、黒田敬介(3回生)、田上博之(38回生)、森嶋輝也(38回生)の三名がそれぞれの立場から意義深い主張や報告を寄せています。それとともに北原淳(神戸大学)による「アジア社会科学研究協議会連盟」シンポジウムへの出席リポートも、その雰囲気や議題の焦点までを生き生きと伝えています。

目次

特集:文化と社会

  • 特集の意義(大野 道邦) 
  • 文化とシンボル(大野 道邦) 
  • 現代アメリカの〈文化〉―多文化主義・国民国家・グローバリゼーション―(油井 清光) 
  • 現代ドイツにおける〈文化と社会構造〉研究―ライフスタイル研究を中心に―(田中 紀行) 
  • グローバリゼーション、ポストモダニズム、アイデンティティの現在(松田 いりあ) 
  • 《エッセイ》メディア時代のアイデンティティの変容(佐藤 健)

海外の社会学

  • トクヴィル問題―アメリカ民主主義における市民参加―(シーダ・スコッチピル) 
  • フィリピンにおけるバランガイ形成―フィリピン地域社会研究の一視点―(材木 和雄) 
  • プティン・ノミネションン・フィ―パプアニューギニア南部高地における選挙活動(素描)-(中野 伸一) 
  • 日本におけるM・ウェーバー宗教社会学研究の動向について(大原 径子) 
  • 複数宗族共住村落の宗族間結合―香港新界南圍宗族の事例研究―(首藤 明和) 
  • 『貨幣の哲学』におけるジンメルの分析視角(徳田 剛) 
  • 中国の国有企業―その共同体的特徴の改革―(楊 宇陽) 
  • 近世における家族観の一試論―「宗門人別改帳」の記載分析を通じて―(平井 晶子)

社会学研究室の歴史―『五十年史』にむけて―(その四

ソシエテ

  • 私の“社会学”を振り返って(黒田 敬介) 
  • インターネットがひらく新しいコミュニケーションの世界(田上 博之) 
  • 北の大地との交流に向けて(森嶋 輝也) 
  • 「アジア社会科学研究協議会連盟」シンポジウムに出席して(北原 淳)

<研究室便り>       

<短信二題>  

<編集後記>


『社会学雑誌』第16号

1999年3月1日刊行 

 A5判210頁 

 頒価1,200円

内容紹介

16号の特集は「現代イギリスに日本を読む」です。現代のイギリスで問題として取り上げられているものは、福祉、学校教育と家庭、移民など、それらは日本において今まさにクローズアップされつつある領域のものばかりです。それならば現代のイギリスがこれらの問題にどう直面し、どう対応しているかということを見ることによって、我が国でも起こりつつあるアクチュアルな問題に対処する手がかりを探ることができるのでないでしょうか。そこで本特集では、ロジャー・グッドマン、アマンダ・パーマー両教授から、イギリスの児童福祉や中等教育に関する最新の実態報告と分析を寄稿していただき、また、当研究室の若手研究者らによって、イギリスのエスニシティや住宅NPOの問題を取り上げています。さらに卒業生による在英日本人社会の体験記も掲載し、その生き生きとした描写によって、外国人=日本人の視点から現代のイギリス社会の一端を知ることが出来るようにしています。この特集の中には、かつての「英国病」と同じようないわば「日本病」にかからずに済む施策を我が国が講じる手だてとなる材料がきっとあると自負しております。

 

また、「シリーズ 四年目の震災」では、被災地の復興をめぐる諸問題を取り上げています。このテーマは神戸大学社会学研究会の中心的研究課題として追い続けており、次々と成果をあげているところです。 

 

さらにまた、研究室卒業生の西村由紀子が修士論文をもとにして書いた論文が、第1回国際協力大学生論文コンテスト」で「特選・国際協力事業団総裁賞」を受賞しました。本号ではその全文を掲載しております。 

 

伝統のソシエテ欄も、上住升(3回生)、稲本謙三(31回生)、高山美香(34回生)の三名がそれぞれの立場から味わい深い手記をを寄せています。また、異動のため、編集委員として携わるのは今号が最後となる北原淳先生による研究室への愛情の溢れた回顧録も掲載されています。

目次

特集:現代イギリスに〈日本〉を読む

  • 日本の養護施設と英国のチルドレンズホーム―比較社会人類学的分析に向けて―(ロジャー・グットマン) 
  • 低学力ティーンエイジャーの学校にたいする態度と家族の影響力(アマンダ・パーマー) 
  • イギリスのエスニシティ問題―C・ピーチにおけるセグリゲーション論―(楢原 聡子) 
  • 「在英日本人社会」体験記(江口 佳美) 
  • イギリスにおける住宅NPO―住宅協会について―(伊藤 亜都子) 
  • イングランド北部の産業都市 ―『二都物語 イングランド北部におけるグローバルな変化、ローカルな感じ方と日常生活』を読む―(松田 いりあ)
  • 《受賞論文》アフリカのエイズ問題の社会学的考察―ケニアにおける予防教育を事例として―(西村 由紀子)

シリーズ:四年目の震災

  • 阪神大震災四年目の地域状況―神戸市長田区鷹取東における住宅再建とまちづくり―(徳田 剛) 
  • 阪神大震災四年目の被災生活―神戸市長田区鷹取東地区の実状―(伊藤 亜都子) 
  • 阪神大震災四年目の生活再建過程―神戸市長田区鷹取東地区における事例研究―(大原 径子)

 

  • ノスタルジアと近代観光―真正性を希求する人々―(今井 信雄) 
  • カリスマ-スティグマ理論の再検討―三つのテーゼとその射程―(黒木 茂浩) 
  • 《研究ノート》明清のエリートの構造における清末の改革勢力(戴 建方)

《回顧》社会調査室の23年(北原 淳)

ソシエテ

  • 米国移住事情上(住 升) 
  • 口パク、キムタク、吹替え翻訳(高山 美香) 
  • スイス航空機が墜落した日(稲本 謙三)

〈研究室便り〉         

〈編集後記〉


『社会学雑誌』第17号

2000年3月1日刊行 

 A5判233頁 

 頒価1,200円

内容紹介

本号の特集は、「日本の世界化=世界の日本化」です。これは統合で結ばれたその前半と後半が、相互浸透し同時進行しつつあるひとつの事態であることを端的に示そうとするものです。世界中で2000年という新たな節目を迎え、各国、各地域では、一方でそのことをそれぞれユニークな形、解釈で歓迎しながら、他方で「2000年問題」という、当該国、地域に限定し得ない不安を抱えていたことが思い起こされます。このような例にもその一端が見受けられるとおり、現代社会においてますます急激に進行する社会諸関係の緊密化は、世界の一体化と各地域性の際立ちとを同時に引き起こしつつ、その相互作用からなる影響を、政治、経済領域のみならず、文化領域にまで及ぼしているのです。 

 

そこで本特集では、イスラエルのE・ベン=アリ教授、アメリカのG・アムスタッツ教授、中国の周維宏教授、ポーランドのA・フリス教授といった多彩な国と地域の先生方からご寄稿いただき、当研究室の大野教授、油井教授を加えて、いわゆる「グローバリゼーション」という一連の事態の、空間軸、時間軸を駆使した立体的な把握に、果敢に取り組んでいます。 

また海外の社会学のコーナーには、韓国の李昌基教授より同族集団に関する興味深い論文を寄せていただくことができました。 

 

さらに若手院生による、震災、観光、家族企業、文化生産の場、電子メディア論、中国の労働力、組織論といった、多岐に渡るテーマの力のこもった諸論考の中には、本雑誌読者の関心にこたえるものもあるのではないかと思います。 

 

 

最後になりましたが、伝統のソシエテコーナーには、今号も、田澤耕平、田中恵子、折井秀行の三名によって、「実社会」における生き生きとしたエッセイを寄稿してもらうことができ、本雑誌のもう一つの目的である当研究室卒業生とのリアルタイムの交流という側面も果たされています。学究的関心ともどもお楽しみいただければ幸いです。

目次

特集:日本の世界化=世界の日本化

  • 特集の意義(油井 清光) 
  • 日本の社会と文化―「前近代」、「近代」、「ポスト近代」の構造的布置―(大野 道邦)〔ヤギェウォ大学(ポーランド)集中講義〕 
  • 「グローバル・トーク」?―シンガポールにおける日本人管理者の言説と認識―(エヤル・ベン=アリ) 
  • 日本の「現在」として仏教的過去を再―イメージする?(ゲーレン・アムスタッツ) 
  • 中国における日本社会研究について(周 維宏) 
  • 文明のダイナミクス ―ヨーロッパ、中国、日本―(アンヂュジェイ・フリス) 
  • ローカリティとしての神戸 ―社会学的理論の空間化によせて―(油井 清光)

海外の社会学

  • 韓国同族集団の構成原理―形成要因を中心に―(李 昌基) 
  • 「復興まちづくり」の展開と「まちづくり協議会」の可能性―神戸市灘区六甲道駅周辺を事例として―(伊藤 亜都子) 
  • 展示されるリアリティ―文化・メディア・ツーリズム―(今井 信雄) 
  • 近代初期における家・同族団の再編―三井・相続講を事例にして―(多田 哲久) 
  • ピエール・ブルデューの「文化生産の場」―分析枠組としての可能性―(松田 いりあ) 
  • 現代的自我におけるリアリティ感覚―電子メディアによる「仮想現実」世界の出現を踏まえて―(池田 径) 
  • 中国の労働力移動―浙江省嘉興市を例に―(郭 蓉) 
  • 「組織とは何か」という問い―コミュニケーション比較分析の観点から―(竹中 克久) 

ソシエテ

  • 弱者の人権(田澤 耕平)(10回生) 
  • クラス初日(田中 恵子)(24回生) 
  • 卒業論文再考(折井 秀行)(45回生)

〈研究室便り〉 

〈編集後記〉


『社会学雑誌』第18号

2001年3月1日発行

A5版250頁

頒価1,200円

内容紹介

今号の特集は「現代アジアから日本をみる」というテーマを掲げました。タイ、東南アジア、韓国、沖縄、中国の地域を研究している五名の方に寄稿していただきました。アジアに視点を据えて日本社会をみることが必要だといわれながら、「アジアから日本をみる」という視点からの実質的な交流はあまり蓄積がありません。アジアが多様な世界を構成しており、テーマの設定をはじめ研究方法においても、対象地域の特徴に大きく規定される傾向が強く、アジア地域研究者の間でも関心を共有できないところがあるからです。本号ではこの難しさを少しでも乗り越えたいというところに趣旨がありました。本号の小さな試みではアジア全域を包括することはできませんが、しかし、一線で活躍されている方々がそれぞれの研究の蓄積の上に、自分のフィールドからみるとどのような問題がたてられるか、日本社会研究に何が発言できるかという問題を具体的に提起すると、一つの立体的な像が構成できるのではないかと考えています。

 

「海外の社会学」に、中国社会科学院の李国慶先生、「特別寄稿」に、神戸大学国際文化学部の三上剛史先生から、それぞれご寄稿頂きました。重ねてお礼申し上げます。

 

「ソシエテ」へご寄稿していただいた卒業生の皆様、誠にありがとうございました。今後とも、「ソシエテ」欄への多くのご寄稿をお願い申し上げます。

目次

特集:現代アジアから日本をみる

  • 現代中国社会のダイナミズムに関する試論的枠組み(佐々木 衞)
  • 韓国社会研究の意義と課題(服部 民夫)
  • 家族農業の放棄と農村的慣行の行方:タイの事例から(髙井 康弘)
  • 東南アジアの海域世界の資源利用:「変化」という持続性(赤嶺 淳)
  • 日本文化の地域性(安和 守茂)

特別寄稿

  • 公共性の理論と構造:ハバーマス、アレント、セネット――理論形成のための予備的考察(三上 剛史)

海外の社会学

  • 中国社会科学院社会学研究所の沿革と現状(李 国慶)

論文

  • ”Society as a whole":『構造』以前におけるパーソンズの問題関心とウェーバー解釈(池田 太臣)
  • カリスマ現象の動態化:『カリスマの日常化』の理論的意義について(黒木 茂浩)
  • 組織はいかに語られうるか?:組織論の限界と可能性(竹中 克久)
  • 現代的自我における時間意識:現在志向と自己物語(池田 径)
  • 異文化経営と地域特性:日本とベルギーのホワイトカラーの意識調査を通して(大久保 マリ子)
  • 中国村落の諸類型:生活組織としての村落の成立基盤を焦点に(首藤 明和)
  • 林野入会の展開と村落結合:島根県伯太町赤屋地区の事例から(福田 恵)
  • 現代の台湾漢民族の祖先祭祀と宗族組織における変容:台湾南部五講水宗族の事例研究(劉 梅玲)
  • 清末の文化変容における儒教文化の再構成に向けて:中国通の宣教師と国際派の土大夫の言説を中心にして(戴 建方)

ソシエテ

  • 近況報告(世界 健太郎)
  • 悩むことは素晴らしい(小尾 佳子)
  • 散華を聞いて(高木 文雄)

〈研究室便り〉

〈編集後記〉


『社会学雑誌』第19号

2002年3月31日発行

A5版214頁

頒価1,200円

内容紹介

第19号は、「転換期の現代社会――二十一世紀の可能性を求めて」と題した特集を組み、〈現場からの報告〉において、実際にさまざまな社会の「現場」活躍なさっている会員の方々から論稿を寄せていただきました。それら生の声を耳にすると、社会学に関心を持つ方の多くは、社会学が社会を分析する学問として閉じこもらず、何らかのかたちでそこにコミットすることはできないか?いや、もっといえば、しなければならないのでは――社会学のあり方について、何度も繰り返されてきたテーマと再び向き合うこととなるのではないでしょうか。しかし、温故知新、古くからの問題に改めて向き合う姿勢こそ、「二十一世紀の可能性を求め」ることにつながるのでは、と考えます。

目次

特集:転換期の現代社会――二十一世紀の可能性を求めて

  • 現代家族への軌跡(竹内 隆夫)
  • 地域社会の現状と展開――公共性の再構築に関するひとつの試論(黒田 由彦)
  • 高失業率下の雇用維持策と生活安定のための課題(材木 和雄)
  • 現場からの報告
  • 卒サラ人生結構多忙〜昔の企業戦士は今(松本 凞)
  • ホワイトカラー層の崩壊による二つの貧困(柏木 総一郎)
  • 子どもたちは今(坂本直樹)
  • 「熱きヒーローたち」(山岸 秀樹)
  • 転換期日本の国際貢献と政府開発援助(ODA)(稲岡 恵美)

投稿論文

  • 二十世紀初頭タイにおける妻の地位――法律と判例集に見る妻の財産権―― (橋本 奏子)
  • マルセル・モースにおける拡散した道徳――「モノに宿る力」への焦点化の意味―― (林 大造)
  • 組織―環境の関係分析に関する一考察――戦略から説明責任へ―― (竹中 克久)
  • 文化活動を通した地域文化の再創造――台湾南部村落の事例から―― (劉 梅玲)
  • わが国の雇用慣行における求人の年齢制限――企業のインセンティブと中高年者の職業能力を中心とした分析―― (新田 明)
  • 相互行為の変容――ゴッフマンの社会学を通じて―― (速水 菜名子)
  • Tupac Shakur (2Pac) ――「語りの場」となったポピュラー・アイコン―― (後藤 吉彦)

金澤 實先生を偲んで

  • 追悼 金澤 實神戸大学名誉教授(大野道邦)
  • 追想・金澤 實先輩(清水 正徳)
  • 金澤先生を偲ぶ(橋川 武司)
  • 不肖の弟子の繰り言(芦田 徹郎)

ソシエテ

  • ささやかな意見(古川 信雄)
  • お父さんのきびし〜い現実(布浦 眞)

『社会学雑誌』第20号

2003年3月31日発行

A5版241頁

頒価1,200円

内容紹介

20号では当誌20年の歴史を総括してはどうかというご意見を前号にていただきました。これにつきましては、すでに1999年発行の『社会学 教室の50年』おいて充実した回顧特集が組まれており、会員の皆様にもさまざまなご協力をいただいております。そこで編集委員では、回顧特集は『教室の50年』に譲り、むしろ20号の節目を飾るにふさわしい特集を組むことで、実質的意味において新たなページを加えてはどうかという結論にいたりました。

 

特集「社会学のアイデンティティと多様性」は、以上の経緯をふまえたうえで、会員の共通基盤である「社会学」というディシプリンの原点とそこに張りつめている緊張関係をあらためて確認するという趣旨から組まれたものです。学外からは折原、富永、デロワ各先生に、また文学部からは鈴木、大城、山本、枝川、樋口各先生に、お忙しいなか寄稿をご快諾いただきました。20号を飾るにふさわしい充実した特集とすることができました。

目次

特集:社会学のアイデンティティーと多様性

  • マックス・ヴェーバーにおける社会学の生成―― I.一九〇三〜〇七年期の学問構想と方法―― (折原 浩)
  • フランス革命と社会学 (富永 茂樹)
  • 失われた時間性を求めて――政治的なものの標定に対する歴史社会学の貢献―― (イヴ・デロワ)
  • 経済と社会学――デュルケーム社会学の一源泉―― (白鳥 義彦)
  • 哲学と社会学の幸福な闘争――タルドという奇跡についての一考察―― (鈴木 泉)
  • 地理学と社会学――折衝の第二ラウンド?―― (大城 直樹)
  • オリエンタリズムを越えて――中国系アメリカ人劇作家D・H・ホワンの『ゴールデン・チャイルド』をめぐって―― (山本 秀行)
  • 享楽の表象――ラカンの〈もの〉の概念に照らして―― (枝川 昌雄)
  • 野蛮としての「文化」――アドルノと「文化批判」をめぐる覚書―― (樋口 大祐)

投稿論文

  • 組織目的概念の学説史的(再)検討――シンボル概念の彫琢をめざして―― (竹中 克久)
  • 生産システムの国際移転の事例研究――ホスト国ベルギーの労働組合との関係から―― (大久保 マリ子)
  • 「近代家族」の大衆化に関する一考察――戦間期農村における教育熱の高まりに着目して―― (奥井 亜紗子)
  • 近代社会における異性愛形式の展開――恋愛の規範化と「宝塚」・「やおい」―― (東 園子)

授業紹介

  • 細部への希望――社会学特殊講義「神戸・阪神間文化の現在」を終えて―― (山本 忠勝)

ソシエテ

  • 空の巣症候群 (冨田 千恵子)
  • 時は流れて (松田 典子)
  • 片田舎の布団屋が思うこと (岸裏 雅子)
  • 女王陛下は今も健在――国際ビジネスの中の英国法―― (江口 佳実)
  • 幼稚園児ママの日誌 (野神 奈緒美)